現在、総務省はふるさと納税流入額全国一位の泉佐野市に、高返礼率の返礼品をやめるように名指しで非難しています。
総務省が泉佐野市にあまりにもヒステリックな対応をしているので違和感というか、もっと言えば嫌悪感を感じているので泉佐野市の目線でふるさと納税について語ってみました。
3月まで100億円還元キャンペーン中!!
もう散々マスコミで報道されているので、いまさら書く必要もないと思いますが文字数を増やす意味で(笑) 泉佐野市の100億円キャンペーンを書いておきます。
現在、泉佐野市は今年の2~3月末限定で「100億円還元 閉店キャンペーン!」を実施中です。
この100億円還元キャンペーンは総務省の圧力によって今年の6月から、ふるさと納税の寄附者へ高返礼率の返礼品を送ることができなくなることに対しての泉佐野市の苦肉の策です。
このキャンペーンの特典は、
A:お礼品をすぐに発送・・・・・・・・お礼品+アマゾンギフト券を寄附額の10%
B:お礼品を5月以降の配送月を指定・・・お礼品+アマゾンギフト券を寄附額の20%
要はお礼品と寄附金の10%か20%をアマゾンギフト券でオマケするというものですね。
ちなみにAとB、どちらがお得かというとAは40~45%の返礼率、Bは30%以下の返礼率となっているのでAを選択したほうがお得ということになります。
このキャンペーンによって泉佐野市はすでに昨年の135憶円の2.7倍である360憶円の寄附を集めることに成功しました。
石田総務大臣に非難される
以前にも総務省は、
「ふるさと納税の高返礼率の返礼品について、制度の間隙をぬって多額の寄附金を集めることはふるさと納税の趣旨に反する」
という見解を発表していて、高返礼率の自治体について不快感を示していました。
そのため、今回のキャンペーンについても石田総務大臣は、
「自分のところだけが良ければ他の自治体への影響は関係がないという身勝手な考え」
「社会的、教育的にも悪影響が大きい」
という趣旨の発言で泉佐野市を名指しで非難しました。
この石田総務大臣の非難を受けて、泉佐野市の千代松大耕市長は
「自治体は総務省の意向や考えに異など唱えず、黙って従っていればよい。総務省に従わない自治体は身勝手だと言われているが、このような総務大臣の論理は納得できない」
「多くの自治体が財政難で苦しんでいることを知っているのに、その自治体とキチンと話し合わず一方的に自分たちの意に沿わない自治体は悪だと決めつけられるのは、それこそ社会的にも教育的にもいかがなものか」
「総務省は、ふるさと納税の発展を望んではいないのか?」
という持論を泉佐野市のホームページに掲載されて石田総務大臣の発言に反論しています。
ふるさと納税の意義
下の文面は総務省のふるさと納税ポータルサイトに掲載されているものです。
(総務省のHPから引用)
社会学には「足による投票」という言葉があります。
それは「好ましい行政サービスを提供してくれる自治体に住民が移動して、住みついて住民税を払うから自治体の財政収入が上がり、財政状況がよくなった自治体は住民サービスをさらに充実させる好循環が生まれるので、このような自治体のほうが長く生き残る」というものです。
この足による投票の考え方でふるさと納税をみてみると、
「ふるさと納税という制度は、好ましい行政サービスをおこなっている自治体へ、引っ越しをせずとも自分が好ましいと思うサービスを提供している自治体に、財政上の応援をすることができる」
ということになりますよね。
また、ふるさと納税という制度が始まった理由のひとつに都心に人が移住してしまうことによって税金が都心に流れてしまい、地方が財政破綻することを防ぐことにあります。
2018年度のふるさと納税額は3482億円ですが、これに伴う住民税控除額は2448億円で、この住民税の控除額は都市部に集中しています。
控除額の大きな自治体としては100億円以上を例にあげると、東京都646億円、神奈川県257億円、大阪府212億円、愛知県180億円、千葉県133億円、埼玉県131億円、兵庫県130億円とすべて都市部という状況になっています。
これはふるさと納税がはじまった当初の狙いどおりに、都市部に流れていたお金が地方へ還流しているということです。
このように、ふるさと納税がはじまった目的から考えると、
「泉佐野市は財政破綻寸前だった市を立て直すため、ふるさと納税によってどうやって税収を上げることができるかを国に頼らず自らで考え、自助努力によって良い結果を出すことができた称賛されるべき自治体なのではないか」
と、ちゅ~ねんは考えます。
まとめ
もともと国(官僚)は集めた税金を自分たちがいったん管理して、それを都市、地方へ再分配することが自分たちの存在意義だと考えているので、当初からふるさと納税の導入には否定的でした。
ですので、総務省が近年のふるさと納税の盛り上がりに意を唱えるのはある意味当然の事であると思います。
このような背景があるのに、マスコミは他人事のように泉佐野市という問題児が空気を読まずにお上(総務省)に逆らっているというような論調でしか報道せず、ふるさと納税の目的や地方分権の考え方に対する報道が抜け落ちてしまっていることを残念に思います。
国民も自治体も得をする優れた制度でもあるにも関わらず、住民や自治体、国の関係者が一切話し合いをせずに、国からの一方的な制度の改悪を受け入れるだけというこの状況に違和感を感じています。