主人公の財前孝史がライバルの藤田慎司とFX対決をすることになった。
FXをやったことのない財前が実際の相場でFXの練習をしていたとき、運悪く月に一度の雇用統計の日に400倍のレバレッジをかけ大損してしまう、、、。
大損した次の日、FX取引の先生役の先輩と交わしたセリフ。
先輩:(お前は)世界の為替相場の大祭りの日に一発大儲けを狙って400倍のレバレッジをかけ、踊り場に飛び込んで大ケガした大阿呆だ。
財前:では、祭りの日に踊ってはいけない。みんなが躍るのを眺めていろということですか?
先輩:FXで儲ける人は基本そうだ。勝つ人は踊らない。そして、おそらく藤田慎司も。財前、、、。俺はおまえにFXで勝とうとすると必ず負けると言ったな。
財前:はい。
先輩:その答えがまさに今回の結果そのものだ。
財前:じゃあボクは勝とうとしたから負けた、、、。
先輩:FXは「いかにうまく負けるか」の勝負なんだ。
引用元: インベスターZ 第10巻(三田紀房 著)より
この後も会話は続き、この話の結論は、
「FXはいかにイエローカードやレッドカードを食らわずに、毎試合コツコツ勝ち続けられるかが重要。大負けせずに小さな負けで負けをコントロールしながら勝ちを積み重ねていくゲーム。一発勝負のトーナメントでなく勝率や勝ち星を競うリーグ戦のつもりで、焦らず冷静に戦うこと」
この結論ってFXに限らず株でもビジネスでも日常生活でも、まったく同じ。
映画やマンガ、アニメなどでは「一発逆転」の展開で物語が一気に好転することが多々あるが、現実世界では残念ながらそういったことは、ほとんどない。
特に株やFXなどの相場やギャンブルでは負けが続くと往々にして「一発逆転」を狙いがちである。
しかしその結果はというと、、、。
それは言うまでもないだろう。
では、どうして「一発逆転」を狙ってしまうのか?
それは相場に対して「次こそは絶対に勝ってやる!」という復讐心を抱くから。そして自分の負けを絶対に認めたくないから。
それとは逆に「うまく負ける事」を心掛けている人はどういう投資行動を取るのか?
それは毎日、コツコツとチャートや決算書を読んで地道に準備を整え「チャンスが来た!」と思えばロスカットの逆指値を設定し、小さい負けで済むように準備をしておいてからポジションを取る。
こういう人は自分でコントロールできること、できないことを良くわきまえている。
だから負けた場合の金額を把握してから相場に臨む。
その結果、利益が出れば良し、損切りになってしまったとしても、いつでも取り返せる小さな損で済む。
そしてその結果を検証して次に生かす。
日々、淡々とこれを繰り返すだけ。
「いかにうまく負けるか」
「一発逆転のトーナメントではなく、リーグ戦のつもりでコツコツと焦らず冷静に戦うこと」
相場に限らず、人間関係や仕事でも役に立つ、とても大切な考え方だと僕は思う。